坐骨神経痛に関して、よく聞かれる質問やお悩みについてお答えしていきます。
Q:坐骨神経痛(神経症状)が出る時がありますが、調子の良い時や悪い時など日によってシビれを感じたり感じなかったりする日があります。特に通院の必要はないですか?
A:いわゆる坐骨神経痛などの神経症状が起きている時点で、当院では何らかの処置が必要で重症と捉えております。突発的な事故など強い衝撃以外で、急に神経症状がでるとは考えにくいです。その方の日常生活動作や身体の使い方のクセ、年齢、運動習慣、普段履いている靴なども坐骨神経痛症状の原因になります。それらの「悪い習慣の蓄積」が現在の症状を引き起こしています。神経症状だけに限らず、腰痛や肩の痛み、膝や股関節痛も全て何か原因になるような生活習慣があって、それが症状として表面に現れているので、その原因をしっかりと評価して施術をしていかないと症状の変化はありません。坐骨神経の症状がある状態で日常生活を送ることによって、症状がある以前の悪い体の使い方から、さらに症状が出ている状態のままかばって使う、いわゆる「疼痛回避姿勢」をとる為、さらに悪化を招いてしまう場合があります。こういった場合には、しっかりと原因を特定し評価ができる医療機関で一度見ていただくことをお勧め致します。
Q:お尻や太もも、ふくらはぎにシビれがあるのですが、Youtubeで見つけた「坐骨神経痛が良くなるストレッチ」を実践しているのですが良いでしょうか?
A:近年、YouTubeやネットで検索をすると様々なストレッチやエクササイズがでてきますよね。結論からお伝えしますと、万人に効果のあるストレッチもエクササイズもありません。今回は「シビれ」に対するストレッチやエクササイズについてですが、重要なのは「その方の症状がなぜでているのか、なぜシビれがあるのか」です。その原因の特定もせずに一般的に”良い”とされているストレッチやエクササイズを実践しても症状が良くなるばかりか、タイミングによっては悪化する場合もあります。なぜならその方によって症状の原因や日常生活動作、体の使い方、仕事、年齢、筋力、体力なども様々だからです。それらの評価や生活背景を無視してネットで検索したストレッチやエクササイズの実践は当院ではお勧め致しません。そもそも神経自体、牽引(引っ張る)の刺激にはとても弱いです。お尻や太もも、ふくらはぎにシビれがあるにも関わらず、その部位に対してストレッチをかけること自体、良いとは言えません。ヘルニアなどの徒手検査(手で行う検査)の際には、仰向けでゆっくり対象の方の下肢を持ち上げていきシビれがでたらヘルニアを疑う。などの検査を致しますが、神経症状がある方に対して腰部を捻る、太もも裏を伸ばす、臀部を強く揉む、などのストレッチやマッサージ、エクササイズは逆効果になる恐れがあります。それよりも姿勢や歩行、日常生活動作などから【なぜ、シビれがあるのか】をしっかり評価して正しい施術、正しいセルフケア、正しいエクササイズを実践していただくことが重要です。それらを踏まえて当院では実際に来院していただき検査をさせて頂いてから、必要なセルフケアやエクササイズをお伝えさせて頂いています。
Q:シビれや腰痛がある時に歩いた方が良いと言われる事が多いのですが、これは本当でしょうか?
A:こちらについてもお答えさせていただきます。
神経症状や腰痛がある場合、施術期間中も歩くことは骨盤の動きを促すうえで歩いてくださいとお伝えすることはありますが、まず大前提として、無理のない程度に歩いていただければと思います。一歩足を出すのも困難な状況でシビれが強く現れている時に、脂汗をかきながら歩くというのは間違っています。初めは自宅の中を歩いたり、自宅の周りを5分~10分程度で十分です。もちろん杖をつきながらでも大丈夫です。当院でお勧めしているのは両手杖の使用です。スキーの際に使用する「ストック」を使いながらの歩行です。姿勢もある程度良い状態で支えがあるため、転倒も防ぐことができますし、骨盤の動きのトレーニングにもなります。そして、歩行の際に最も重要なのが「どんな靴を履くか」です。当院では靴紐の正しい通し方やどんな靴を選んだら良いかなどお伝えしています。※靴の販売はしていません。
神経症状で悩んでいる方が全く歩きたくない。普段はずっと「サンダル」で移動している。などの場合にはまずはそこから変えていただくように皆様にお伝えさせていだいております。
Q:10年以上前に痛めた足の捻挫や靭帯損傷などの怪我は今回の坐骨神経痛症状の原因になりますか?
A:これは関係します。足関節の捻挫や膝関節の靱帯損傷の既往もそうですが、手首の骨折や肩関節の靭帯損傷など、シビれや他の症状がある部位から離れているところの過去の怪我も今、あなたが悩まれている症状の間接的な原因になることがあります。なぜなら過去の骨折や靭帯損傷をした際に可動域訓練やリハビリを中途半端に受けてそのままの身体の状態で日常生活やスポーツに復帰してしまっていた場合、怪我をする前の身体の使い方とは全く違う状態で身体を使ってしまっているためです。例えば手関節の骨折では、歩行の際の腕の振り方に影響が出ます。足関節捻挫の場合には、軽い捻挫と捉え、一時のテーピング等ですぐに競技に復帰してしまったことによる足関節アライメント(足関節のバランス)が失われてしまっていることによります。ある研究によると、足関節捻挫が完全に「治癒」という状態になるには約1年かかると言われています。大体の方は1~2週間程度冷やしたり電気をあてて、特に固定もせずに痛みがないからという理由でスポーツや学生時代の部活に復帰しているのではないでしょうか?当院にもそのような方が大勢いらっしゃいます。今出ている症状の原因が、そもそもの歩行フォームの崩れによる方がとても多いです。
Q:臀部や足の痺れは全て坐骨神経痛ということでしょうか?
A:こちらもお答えさせていただきます。
臀部や足のシビれを全て「坐骨神経痛」と一括りにするのは間違いです。「坐骨神経痛」に関しては皆様馴染みがあるので「シビれ=坐骨神経痛」という認識の方が多いような気がしていますが、神経症状の現れている場所でも、どの神経が原因なのかの評価は変わります。例えば、臀部の筋(大臀筋・中臀筋)などが加齢などで下に垂れてしまうと腰神経叢(神経の束)からでている上臀皮神経も一緒に下方へ引っ張られて、腸骨(骨盤の骨)にあたってしまいお尻にシビれが起こることもあります。この場合、全て坐骨神経痛として施術をしても、そもそも原因の神経が違うため、施術が全く意味ないとまでは言いませんが、症状の変化は出にくいです。ただ、治療家がプロとしてどのような機序でどの神経が圧迫や牽引されて症状がでているのかを評価することがとても大切です。当院ではあなたの症状、お身体の評価をしっかりさせていただいております。